JALT Journal Abstracts
November 1998
Vol.20, No.1
An EFL Readability
Index
James Dean Brown
本論では、日本人英語学習者の英文難易度とクローズテスト結果との関係について考察する。50の英文をランダムに選び出し、それぞれ12語毎に30箇所の空所を設けたクローズテストを50個作成し、18校の日本人大学生英語学習者2,298名を被験者として、各学生にランダムに選び出したクローズテストを1つずつ与えた。次に、各クローズテストの平均得点をテストに使用した英文の難易度と考え、これを従属変数とし、次の2種類を独立変数として、その関係を分析した。1.
母語読者にとってのリーダビリティー推定値(Flesch, Flesch-Kincaid, Fry, Gunning,
Fog, and modified Gunning-Fog) 2. 英文上の計量可能な情報(機能語の占める割合、1文あたりの音節数、1文節あたりの単語数、単語の出現頻度など)との相関分析、因子分析、重回帰分析の結果、1の「母語読者にとってのリーダビリティー推定値」は、クローズテストの結果によって示された「英文難易度」とは弱い関係しか認められなかったが、2の「英文上の計量可能な情報」については、数種類の変数の組み合わせが興味深い結果を示した。特に、a)
1文あたりの音節数、b) 単語の平均出現頻度、c) 7文字以上の単語の占める割合、d)
機能語の占める割合、の4つの計量可能情報と「英文難易度」との間には、強い関係があることが確認された。これらの結果に基づき、本論では、外国語としての英文難易度推定方法の研究方向について考察する。
発話矯正:コミュニティ・ランゲージ・ラーニングの理論の
応用
横溝紳一郎
Local
Area Network (LAN) Computers in ESL and EFL Writing Classes: Promises and
Realities
George Braine & Miho Yorozu
ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)は、アメリカの大学の作文授業では10年以上前から利用されているが、近年、アジアの国々での外国語授業へも導入されつつある。実際に英語を使って書く量が多くなり、学習者間の協力が盛んになるという理由で、英作文学習に効果的だといわれるLANであるが、作文の質的側面をみると状況が異なる。すなわち、LANを利用して書き上げた作文には、従来の教授法に従って書かれた作文ほどの質的向上がみられないのである。さらに、学習者間でお互いの作文を添削する場合、LAN利用の授業と比較して、従来型の授業の方が学習者はより盛んにフィードバックを送りあっていたことが判明した。英作文能力の向上のために、LANの利用が従来型の授業よりも効果があるとは、必ずしも結論付けできないようである。
Effectiveness
of Different Approaches to Kanji Education with Second Language Learners
Mary Flaherty & Mary Sisk
Noguchi
日本語学習者に対する漢字教授法は、全体的漢字教授法と構成要素分析教授法とに大別することができる。全体的漢字教授法とは、漢字を独りで繰り返し書き写し、学習用に制約された文章の中でそれらを読むことで、漢字全体を一つの単位として記憶させるものである。構成要素分析教授法は個々の漢字を構成要素にまで完全に分解し、それぞれの構成要素に固有の意味を付与し、その後でそれらの構成要素を関連付けるようなストーリーを記憶し、元の漢字の本来の意味を思い出させるというものである。本稿では、日本国内と国外という異なった状況における、これら二つの教授法の効果を比較検討した。日本国内外の被験者グループに対し、それぞれの教授法を週1回3週間実施した。被験者は毎回10
個の漢字を学習し、その後短期記憶テストを受けた。4週目には長期記憶テストを実施し、さらに一ヶ月後の5回目のテスト時には追加的な長期記憶テストを実施した。この結果、構成要素分析法の教授法としての優位性が証明された。本稿では、漢字処理の深度、学習方法、日本国内外での差異を中心に議論を展開する。
Procedural
and Conceptual Parallels Between Student and Teacher Product-Driven Writing
Projects
Christine Pearson Casanave
本論では、「結果としての作品」中心のライティング法(product-oriented
approach)について考察する。このライティング法は、書き手が教師の場合もあり、また学習者の場合もある。作文を文集にまとめるプロジェクト学習では、最終的に書き上がった状態を目標とし、推敲のプロセスを計画的に行うことはその目標到達に至るストラテジーと考えることができる。また、このライティング法では、書き手が教師の場合と、書き手が学習者の場合とに共通する重要な項目として、以下のことが挙げられる。a)ライティングを言語運用能力全体の視点から捉えることができる、b)誤りの訂正は必要かつ意味がある、c)読み手を想定して書かれているため、書かれたものは評価の対象になる、d)作品集は多様な意見や価値観を反映したものになる。文集作成のような作品中心型のプロジェクトは、どのような学習場面においても実施できるとは言えないが、多くの異なる学習場面や学習目的に適合させ、取り入れることが可能である。
Intercultural
Communication Concepts and Implications for Teachers
Anne M. Shibata
本論では、まず異文化間コミュニケーション(以後IC)を定義・説明し、外国語教育カリキュラムの中にIC授業を取り入れる必要性について言及する。次に、日本においてICを教える際に有用と考えられる概念的な枠組みについて考察する。IC教育は、個人の感情や価値観等の多様な内容にかかわるので、単に異なる文化を学習者に認知的に理解させるだけでは、十分な異文化適応能力を養成することはできない。本論では、上記の内容に加え、日本におけるIC授業を担当する教師の教育能力、IC授業で実際に利用できる授業活動の例についても言及する。
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