JALT Journal Abstracts
May 1999
Vol.21, No.1


Using a Commercially Produced Proficiency Test in a One-Year Core EFL Curriculum in Japan for Placement Purposes 

Brent Culligan & Greta Gorsuch 

学習者の能力に応じた英語のクラス分けを行う際には、一般に普及している英語能力テストを実施してその得点をもとに行う場合と、各英語コースが独自に開発したテストを実施してその得点をもとに行う場合とが考えられる。本論では、日本の私立短期大学・大学において Second Level English Proficiency Test  (SLEP)を用いて英語のクラス分けを行ったケースについて論じる。  
本研究の目的は、プレースメント目的でのSLEPの有用性を検証することである。538名に事前・事後テストを実施し、項目分析を行った結果、SLEPィ本研究被験者・英語コースのいずれにも適合しないことが判明した。この結果をもとに、より妥当なプレースメントを行うためにテストに併せて実施すべき補足的な事柄と、当該英語コースにより適合したプレースメント・テストの開発について言及する。 

Evaluating Six Measures of EFL Learners' Pragmatic Competence 

Ken Enochs & Sonia Yoshitake-Strain 

本論では、6種類のプラグマティック能力測定テストの妥当性・信頼性・実用性を検討する。この6種類のテストは、外国語学習者が習得している、様々な状況下での適切な依頼・謝罪・断わり表現の生成能力を測定するため、ハワイ大学 のHudson, Detmer, and Brownによって開発されたものであるが、これまでにも日本人英語学習者(ESL)や日本語学習者を対象にした研究がなされている。
本研究では、この6種類のテストを日本人英語学習者(EFL)を対象に測定をおこなった。その結果、6種類のうち4種類のテストにおいて高い妥当性と信頼性を確証した。さらに、これらのテストでは、TOEFLでは判別できなかった海外滞在経験の有無を明確に判別することが可能であった。 

Massive Input Through Eiga Shosetsu: A Pilot Study with Japanese Learners 

Michael "Rube" Redfield 

本論では、英語学習者に多量の「理解可能な入力情報(comprehensible input)」を与えることができる、全く新しくかつ自然な外国語学習・教授法を紹介する。この学習・教授法は、まず学習者が興味を持てる映画を鑑賞して音声情報と映像情報に支えられた英語の意味を学習し、その後、その映画小説を読むことで、すでに学習した英語を確かな知識として定着させる試みである。本論で紹介するパイロット研究では、リスニング、読解、語彙のそれぞれの学習において、この学習・教授法の教育的・統計的効果が確認された。 

Influence of Personality, L2 Proficiency and Attitudes on Japanese Adolescentsユ Intercultural Adjustment 

Tomoko Yashima
 
本研究では、第二言語能力と外向的傾向を含むいくつかの個人要因が、日本人高校生の異文化適応に影響を与えるかどうかを明らかにすることを目的とする。調査対象は一年間アメリカの家庭にホームステイしながら、現地の高校に通う日本人高校生139名と、そのホストファミリーである。出発前に行った英語標準テストの成績、性格タイプインデイケーターにより測定した外向的傾向、及び、質問調査から得たいくつかの変数を独立変数とし、質問紙郵送法による自己評価、ホスト評価の適応を依存変数として重回帰分析を行った。その結果、外向性傾向は、アメリカ人との交友やホストとの関係に対する満足度など、ほぼすべての自己評価の適応指標を予測できた。一方英語力はホスト 評価の適応を予測することができた。また、国際的関心をもち、日本中心性が弱いほど学校授業に対する満足度が高いこと、過去の海外滞在経験が適応に良い影響を与えることも示された。 

Evaluating Learner Self-Assessment 

Colin Painter 

本論では、日本の大学におけるコンピュータを利用した英語コミュニケーション授業場面を取り上げ、学習者自身による評価と教師による評価とのピアソン相関係数の分析を行った。さらに、学習者の自己評価得点とTOEIC得点の相関分析を行い、この自己評価に用いたテストの妥当性を検証した。その結果、自己評価点は、TOEICの全部のパート別得点に有意な相関関係があるわけではないが、自己評価得点と教師による評価との間には有意な相関が認められた。このことは、自己評価の信頼性の高さを示唆している。 

Raising the Quality of Discourse Using Local Area Networks in Returnee Classes 

John Herbert 

洗練されたコンピュータ・ローカル・エリア・ネットワーク(以後LAN)の利用は、外国語教育にとって有効な手段となり得る。本研究では、日本の大学の帰国子女クラスにおけるLAN利用について報告する。コンピュータを利用することにより、学習者の談話に質的な向上が認められることが本研究の論旨であるが、このような質的向上の理由には、a)学習者が各自のペースで学習できること、b)多人数の学習者が同時にディスカッションに参加できること、c) 従来型の授業形態と比較して、コンピュータを利用した授業では、学習者はより自己表現を行う、の三つの理由が挙げられる。LAN上で実際に行われたディスカッションや学習者からのフィードバックをもとに、この教授法の有効性を検証する。 

The Relationship between Self-Efficacy and Language Learners' Grades 

Stephen A. Templin 

本研究では、「自己効力感が高く、課題の達成能力に強い自信を持つ学生と、そうでない学生とを比較し、第二言語授業においてより高い成績を収める」という仮説を検証する。74名の日本人高校生を対象に、質問紙法を用いて、課題達成に対する自己効力感・達成可能性・自信を10段階評価法・Yes-No評価法、%評価法で評価させた。次に質問への自信度を合計して自己効力感得点として分析を行った。質問紙全体とパート毎の信頼性を示すCronbachユs alphaは、それぞれ.96, .98, .91と高い値を示した。自己効力感の高い生徒群と低い生徒群の間で、成績を従属変数にしたティ検定を行ったところ、5%以下の危険率で統計的有意差が確認され、上記の仮説が検証された。 

A Myth of Influence: Japanese University Entrance Exams and Their Effect on Junior and Senior High School Reading Pedagogy 

Bern Mulvey 

本研究では、試験が教授法に及ぼす「望ましくない波及効果」について論じる。日本の大学入学試験が、中学校・高等学校における英語教育の発展にとって障害となっていることが、多くの研究者によって指摘されている。本研究では、中学校・高等学校での英語読解指導方法や検定済教科書を調査し、指摘されているような大学入学試験の波及効果について、その実態の分析を行った。この分析結果をもとに、教授法や教科書のあり方について提案を行う。