JALT Journal Abstracts
November 2000 
Vol.22, No.2

Articles

Encouraging Critical Collaborative Autonomy

Tim Murphey & George M. Jacobs

本論では、外国語教師は、学習者を批判的、協力的、自主的に活動するように励ますべきであると提唱する。“批判的、協力的、自主的な学習集団”の三つの構成要因を検証し、なぜそれらが整合性があるのかを明らかにする。さらに、それぞれの要因がどのように影響し合い、発展していくのかについて述べる。自主的な学習者であるということは、必ずしも一人で学習するということではなく、むしろ、各自が学ぶ手段
について、客観的、批判的に意志決定する能力を有することを意味している。したがって、教師が 協力的な学習環境を与えることにより、学習者は、仲間と共に協力し合い、批判的な意 見を交わしながら、より早く自主性を身につける。自主的な学習者は、こうした学習環境の中で、言語習得を加速させるばかりではなく、自らを発達させ、学習集団そのものの性格をも変えていく。第二言語習得理論のみならず、社会
文化的、政治的、哲学的な 側面にも言及する。
 

Evidence of Accommodation to L2 Pragmatic Norms in Peer Review Tasks by Japanese Learners of English

Virginia LoCastro

Johnson (1992)による、賛辞と丁寧さに関する外国語学習者同士の相互評価の研究を参考に、本論文では、日本人英語学習者による学習者同士の相互評価を考察した。さらに、特に外国語の分野においては、第二言語のプラグマティックス教育の、学術的ライティング能力への効果についての先行研究が十分とは言えず、本研究では、この効果も研究対象とした。研究の目的は、学習者の賛辞、同意、反意、訂正などの発話行為や賛辞ストラテジーを調べ、さらに、ライティング授業の効果を調べることである。授業効果については特に"I think"という表現を取り上げた。
 

The Impact of Input Modifications on Listen Comprehension: A Study of Learner Perceptions

Chloe Gallien, Sabine Hotho & Harry Staines

本論では、簡素化された音声インプット、オーセンティックな音声インプットの利用が、教室における学習者の考え・認識にどのような影響を及ぼ
すかを調べた研究を報告する。本研究は、自然な環境での第二言語習得と、授業環境での第二言語・外国語学習という状況によって、研究の視座は異なるべきであるとの考えを前提にしている。また、外国語学習におけるインプットの役割を対象にした研究においては、学習者がさまざまなイン
プットに対して、どのような考え・態度を持っているかを考慮する必要があるとの考えに基づいている。学習者の考えが、学習内容を決定づけるほ
ど大きな要因であるからである。「オーセンティックなリスニング教材へのほうが、簡素化され、より理解しやすくされた教材へよりも、学習者の
反応・態度が良い」と広く考えられているが、本研究では、この考えについての調査を8週間にわたって行った。被験者はフランス及びドイツの大
学生である。本研究の結果、簡素化されたインプットの内容と提示法によって、被験者はさまざまな考えを示すことが明らかになった。研究の結果
は、外国語教育と今後の同分野の研究に役立つものである。
 

Concepts of EFL Reading among Taiwanese College Students of Low Reading Proficiency

Hui-Lung Chia & Hui-Uen Chia

本論では、英語読解を得意としない台湾人大学生が、英語読解についてどのような考えを持っているかを、実証的かつ記述的に行った研究を報告す
る。SLEP Testの読解テスト結果に基づいて50名の被験者を選び、このうち45名に対して個別インタビューを行った。インタビュー内容は録音し、
後に記述したデータを、質的・量的の両面から分析した。この結果、被験者が英語読解について、特徴的な考え方を持っていることが明らかになっ
た。一般的には、被験者は独立し内在化された補正・修正ストラテジーについての意識が薄く、読解を、単語レベルの分析的な作業、教室における
言語学習練習と考えている。このように、読解を限定的に考える様子が見て取れるストラテジーが、いくつか認められた。最後に、この結果を踏ま
えて、読解教育への示唆について述べる。

Research Forum

Using Item Response Theory to Refine Placement Decisions

Greta J. Gorsuch & Brent Culligan

本論文では、プレースメントの決定過程での項目応答理論の利用について考察を行った。観察データを対象とする古典的理論・分析(標準誤差等)
と、観察データに拘束されない項目応答理論のそれぞれの一般的原則を比較・検討し、古典的理論・分析によるプレースメント決定の問題点を指摘
した。487のデータについて、素点とRaschに基づく能力推定値をもとに、それぞれのプレースメント決定を比較した結果、素点を利用した場合に
は5%の確率でプレースメントの判断を誤る危険性が判明した。本研究は、測定誤差を最小にしてプレースメントを実施する者に有益な情報を提供
する。

Perspectives 


Why Use Ads in the Foreign Language Classroom?

Jonathan D. Picken

言語についての認識、言葉あそび、文化の分野における最近の研究をふまえ、外国語教育における広告の使用について考察する。広告の使用を論じ、上記の三つの分野での広告使用例を挙げる。さらに、異なる三つのコンテクストにおいて、いかに広告の研究が広告を用いた教材の質を最大限に高めるかを提案したい。
 

Is English Cinderella, a Kidnapped or Adopted Child, or Godzilla?: Diverse Perspectives and Pedagogical Conflicts

Hideo Horibe

本論は国際語としての英語の広がりに関する諸問題に言及した英語と日本語の最近の文献を調査し、英語の普及についての様々な見解を「シンデレラ」「誘拐された、あるいは養子にされた子供」「ゴジラ」の三つの比喩に基づいて分類する。本論はさらに、このような見解の多様性に由来する教育上の問題のいくつかに焦点を当て、それらが日本の英語教育においてどのように表われているかを詳細に検討する。結論として、この一組の比喩が、将来の日本の英語教育の方向を議論するための適切な枠組みになりうることを示す。