JALT Journal Abstracts
May 2000
Vol.22, No.1


A System for Analyzing Conversation Textbooks

Takashi Miura

本論文は、口頭英語コミュニケーション教材の新しい分析システムを提案し、以って各教科書が依拠する言語理論と学習理論を追跡し、各教科書が教室に創出する授業展開の予測を可能ならしめることを目的としている。本研究では各教科書の特徴を決定づける主要因として、(a) トピックの一貫性、(b) シラバスのタイプ、(c) ドリルの使用頻度、 (d) 生徒が自分の考えを述べる活動の有無、(e) 言語活動のタイプ、の五つをとりあげ、各教科書におけるこれらの変数を数量的に測定する尺度を提案している。これらの五つの主要因は、新学習指導要領で開設された高校用オーラル・コミュニケーションA用に1995年に出版された 16冊の検定教科書の分析の結果得られたものである。

Teachers of English in Japan: Professional Development and Training at a Crossroads

Judith M. Lamie

特にオーラルコミュニケーションに重点を置いた文部省新指導要領に対して、英語教育を実際に担当している教員が、どのような意見・考えを持っているのかを知ることは重要である。本研究では、日本各地の中学校または高等学校で英語を担当する教員60名を対象にアンケートを実施し、大学における英語科教育の内容、現在の英語教育目標と教材、教員研修への参加ついて調査を行った。このアンケートの結果によれば、日本において英語教育の目的を達成するためには、英語教員の養成・研修のあり方を再検討することが重要な課題といえる。

An Investigation of Five Japanese English Teachers' Reflections on Their U.S. MA TESOL Practicum Experience 

Sandra McKay

本論文では、アメリカの大学院英語教育学修士コースに在籍する日本人英語教員5名の英語教育実習を考察した研究を報告する。個別及びグループ・インタビュー、指導教員及び筆者のフィールド・ノート、大学院生の授業ノート及び最終レポートからさまざまなデータを収集し、自己の英語教育実習について、5名の大学院生がどのような考えをもっているのかを考察した。これらのデータから、5名の院生は全員が共通の問題に直面していたが、それぞれが抱えていた教育上の関心事は、それぞれの人柄、英語教育歴、学習歴、授業環境に影響され異なっていることが明らかになった。得られたデータの多くは、英語を母語としない英語担当教員が直面する問題点を示したのだが、同時に本研究は、このような実習がもたらす意味を確認し、教員養成者にとって教育実習がより有益なものになるよう、教育実習のあり方を検討する方法を示した。

Teacher Codeswitching in the EFL Classroom

Yuri Hosoda

語学教師による学生の第一言語の使用は教師自身によって否定的に捉えられている。しかしながら教師による学生の第一言語と目標言語とのコード切り替えは、時として肯定的な効果もあると考えられる。本研究は、一人の日本人教師の英語授業内におけるコード切り替えを検討した。分析の結果、教師の日本語と英語のコード切り替えは教室内でいくつかの社会的役割を持つばかりでなく、談話における重要な役割を持っていることがわかった。

Effects of Teaching Metaknowledge and Journal Writing on Japanese University Students' EFL Writing 

Keiko Hirose & Miyuki Sasaki

本研究は、横断的研究 (Sasaki & Hirose, 1996) で抽出された日本人英語学習者の英作文力の説明要因の教育効果を、縦断的に検証するものである。五つの説明要因のうち、英語説明文に関するメタ知識と規則的に英作文を書く経験の2要因をとりあげ、英作文力に及ぼす教育効果を測定した。大学1年生の1グループには1学期間(12週間)メタ知識を教え、別のグループには同じメタ知識教授に加えて、1学期間定期的にできるだけ多量の英文を書かせる指導を行った。指導後、両グループとも明示的なメタ知識は増えたが、指導前後に学生が書いた英作文を比較した結果、英文を書いたグループのみに作文のmechanics の点で向上がみられた。最後に、これらの結果を基に、今後の英作文指導とライティング研究に与える示唆及び課題について考察した。

Establishing a Valid, Reliable Measure of Writing Apprehension 

Steve Cornwell & Tonia McKay

外国語、もしくは第二言語学習における不安感(anxiety)については、多くの研究がなされているが、ライティングに関しては、anxiety に関する研究がほとんどない。わずかに記録されている研究は、英語を母国語にする学習者用につくられた『デイリーとミラーによるライティング不安感テスト(DM-WAT)』を使ったものである。ごく最近までこのテストを、英語を第二外国語とするグループに適用することは、試みられていなかった。 この論文では、日本人の英語学習者向けに翻訳したDM-WATの、適用の試みについて報告する。第二言語でのライティングにおいて、学習者が経験する不安感を適正に測定することにより、ライティングに問題のある学習者をさがしだし、またどうすれば優れたライティングができるかを示す。さらにはライティングの不安感をやわらげる対策をたてるにあたっての、指標を示すことができる。翻案版DM-WATを日本の短大英語学習者に試みたところ、第一段階としては適正な結果が得られた。

Awareness and Real Use of Reading Strategies

Ryusuke Yamato

本論は、新しく開発された質問紙を用いて、読解ストラテジーに関して日本人英語学習者がどのような認識を持ち、どのように使っているかを考察する。特に考察する点は次の三点である。(1)因子分析により、日本人英語学習者が持つ読解ストラテジーの使用認識に関してどのような因子が抽出されるか。(2)二種類のメタ認知(使用認識と効果認識)のスタイルが、より良い読解につながるか。(3)学習者のストラテジーの認識と習熟度との関係はどのようなものか。242名の大学生から得られたデータの分析から、(1)読解ストラテジーに関して抽出された因子の多くが相互読解モデルに適合すること(2)ストラテジーの認識と習熟度との間にははっきりした関係は本研究では認められなかったが、学習者が効果的でないと考えるストラテジーを頻繁に使用し、効果的と考えるストラテジーをあまり使用していないという認識をしていることが示された。これらの分析に基づき、本論はストラテジー指導のための提案をいくつか行なった。

Research Forum

Which Words? A Comparison of Learner and Teacher Choices for Lexical Study

Michael Guest

単語学習は、日本における英語授業や英語学習教材の中では付属的なものと考えられることが多い。これは単語学習に払われるべき注意を、学習者・教師の双方が怠っていることを意味している。これはまた、学習者が、英語学習全般に大きくかかわっている単語という言語の構成部品を十分に利用できないでいることを示している。本論文では、限定的ではあるが、英語学習者が英文から単語を選び出す際に、何に注目して選定を行うのかを考察した研究を報告する。学習者が行った単語の選定方法は、教師が行った単語の選定方法、研究者が報告した選定方法と比較して考察を行った。その結果、教師と学習者では単語の選定方法が異なるだけでなく、いずれの選定方法も、単語の本質についてこれまでに報告されている内容と必ずしも合致しないことが判明した。

Perspectives

"The Eyes of Hito" A Japanese Cultural Monitor of Behavior in the Communicative Language Classroom 

David L. Greer

日本人学習者には「人の目を意識する」という文化的な要因があり、それがコミ ュニカ ティブなアプローチに抵抗を感じさせると著者は論じる。著者は、「人意識」という 現象 がどのようにして日本人の「自己」の一部となるか、そして「人」が日本人の「自己 」に どんな影響を及ぼすかということを説明する。終りに、著者は「日本人の『自己』に 対す る『人』」の影響を理解している外国人教師のために適当な教授法を推薦する。

Helping Novice EFL/ESL Academic Writers Appreciate English Textual Patterns through Summary Writing 

Kyoko Yamada

英文学術論文の書き方を学ぶ際、英語学習者(EFL/ESL writers)は論文に用いるテキストの展開パターンに違和感を覚えることがしばしばある。学習者はこれらのパターンをライティングの手助けというよりも彼らを縛り付けるルールとして受け止めがちである。本論では、学習者の抱くテキストの展開パターンへの否定的なイメージを取り除くことに、サマリー・ライティングが効果があることを論ずる。まず、衛星放送英語ニュースを活用したサマリー・ライティングをどのようにしてテキスト展開パターンを教える際に用いるかを論じる。さらに中上級(upper-intermediate)用コースで実際に行った一連のサマリー・ライティング授業の結果について報告する。